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整備

ブレーキの見方

パッドの残り、ブレーキ液の量と色、ディスクの傷。自分で見て分かるところと、ここから先はお店に任せたほうがいい、という境目をまとめました。

ブレーキは、交換や調整の作業そのものがプロの領域です。ですが、見て気づくことはできます。このページは、作業のやり方ではなく「見方」と「気づき方」に絞っています。気づいたら、そこから先はお店に任せてください。

バイクの前輪のディスクブレーキ。キャリパーとブレーキディスク
ディスクブレーキのまわり。銀色の円盤がディスク、それを挟んでいる部品がキャリパーで、中にパッドが入っています。
※イメージ画像です。
このページに、交換の手順は書いていません。 ブレーキは、うまくいかなかったときに止まれなくなる場所です。日常点検の範囲を超える作業は、お店にお任せください。

1. いつ、何を見るか

いつ見るところ
乗る前
(毎回)
レバーとペダルの効き方。走り出してすぐ、軽くかけて効くか
月に一度パッドの残り(インジケーター溝)、液の量と色、ディスクの傷
2年ごとブレーキ液の交換(お店で)
しばらく
乗らなかったあと
ディスクのサビ、引きずり(押して重くないか)、レバーの戻り

※ 日常点検の全体は 日常点検(乗る前の3〜4分) にまとめています。このページはその「ブ」の部分を詳しくしたものです。

2. ブレーキパッドの見方

ディスクブレーキのパッドには、減り具合を知らせる目印が付いています。いちばん多いのが「インジケーター溝」という切り欠きで、パッドが減ると溝が浅くなり、やがて消えます。溝が消えたら交換です。

ヤマハの取扱説明書には、「ブレーキパッドのインジケーター溝の深さで摩耗の状態を点検します。インジケーター溝がなくなったら、販売店でブレーキパッドを交換してください」と書かれています。

ただし、目印の付き方は車種によって違います。同じメーカーでも、前は溝で見て、後ろは「インジケーターとディスクのすき間がなくなったら交換」という車種があります。お手元の取扱説明書のやり方で見てください。
まだ十分
ディスク溝摩擦材裏金

摩擦材が厚く、目印がはっきり見えます。

そろそろです
ディスク溝摩擦材裏金

溝が浅くなってきました。次の整備で見てもらってください。

もう交換です
ディスク溝なし摩擦材裏金

目印が消えたら限界です。そのまま乗るとディスクを傷めます。

どこから見るか

  • キャリパー(パッドを挟んでいる部品)の外から、すき間をのぞきます。明るいところで、スマホのライトを当てると見えます。
  • 前は左右2枚、後ろも2枚。片側だけ減っていることがあるので、できれば両側を見てください。
  • 音を当てにしないでください。バイクの取扱説明書は、目で見て点検する前提で書かれています。音が出る仕組みの車種もありますが、音がしなくても減っていることがあり、音が出たときはすでに限界を過ぎていることもあります。
摩擦材がなくなったまま乗ると、パッドの裏金がディスクに直接当たります。 ヤマハは、こうなるとディスクを傷付けてしまうため、ディスクの交換が必要になると説明しています。パッド代だけで済んだはずのものが、ディスクまでの交換になることがあります。

3. ブレーキ液(フルード)の見方

ハンドルの右側(前ブレーキ)と、車体の右後ろあたり(後ブレーキ)に、小さなタンクと、中が見える窓があります。ここで量と色を見ます。

よい状態
UPPERLOWER液の窓(リザーバータンク)

量がUPPERとLOWERの間にあります。

減っています
UPPERLOWER液の窓(リザーバータンク)

LOWERを下回ったら、パッドの減りか、どこかで漏れています。

古くなっています
UPPERLOWER液の窓(リザーバータンク)

色は濃くなっていきます。ただし新品の色は銘柄で違うので、2年で決めてください。

量が減っていたら

  • パッドが減ると、液面はゆっくり下がります。これは正常な動きです。パッドを新品にすると戻ります。
  • 急に減った、いつの間にか下がっている ― これは別の話です。取扱説明書には「ブレーキ液の減りが著しいときは、ブレーキ系統の液漏れが考えられます。販売店で点検・整備を受けてください」とあります。
  • 足すだけで済ませないでください。減った理由を確かめないまま足すのは、危険を先送りするだけです。パッドが減って下がっている分を足してしまうと、パッドを新品にしたときに液があふれます。
  • LOWERを下回っているのに、パッドはまだ減っていない ― このときは販売店へ。どこかで漏れている可能性があります。

色が濃くなっていたら

ブレーキ液は、使ううちに茶色から黒へと濃くなっていきます。ただし新品の色は銘柄によって違います(うすい黄色のものも、琥珀色のものもあります)。色だけで決めず、前に換えてからの年数で判断してください。

  • ブレーキ液は、空気中の水分を吸います。水分が増えると沸点が下がり、強くブレーキをかけたときに液が沸いて、エアが入ったのと同じ状態になります。レバーがスカスカになり、効かなくなります。
  • 金属の部品が錆びる原因にもなります。
  • だから2年ごとの交換です。取扱説明書にも「ブレーキ液は安全のために2年ごとに交換してください」と書かれています。色が薄くても、2年経っていたら交換と考えてください。
液の種類は、車種ごとに決まっています。タンクのフタや取扱説明書に「DOT4」などと書いてあります。違うものを入れてはいけません。
ブレーキ液は、塗装や樹脂、ゴムを傷めます。ヤマハの取扱説明書には、「塗装面やプラスチック、ゴム類に付着すると部品が腐食することがあります。付着したらすぐにふき取ってください」とあります。

4. ディスクとドラムの見方

ディスク

  • ディスクの面に「MIN TH ○.○」という刻印があります。「最小の厚み」という意味で、この数値まで薄くなったら交換です。数値は車種によって違います。
  • 段付き。パッドの当たっていない外周と、当たっている部分に段ができていないかを、指でなぞると分かります。
  • 歪み。わずかな歪みや厚みのムラでも、ブレーキをかけたときにレバーが脈を打つように震えます。転んだあとは特に注意してください。
  • ヒビ。厚みが残っていても、ヒビが入っていたら交換です。
ディスクの掃除は、ふだんの洗車のときに中性洗剤で洗うだけで十分です。 パーツクリーナーの中には、ディスクの表面に残って効きを悪くする成分が入っているものがあるとも言われます。油分を付けないことのほうが大事です。

ドラムブレーキ(後輪が多い)

外から中は見えませんが、見る方法があります。

  • レバーやペダルをいっぱいに効かせた状態で見ます。ここは各社共通です。
  • 見方はメーカーによって違います。ヤマハは「インジケーターが使用範囲から外れたら使用限度」、ホンダは「ブレーキアームの矢印とブレーキパネルの刻印が一致したら使用限界」といった書き方です。逆に読むと判断を誤るので、必ず取扱説明書で確かめてください。
  • 目印が見当たらない車種は、外してみないと分かりません。お店に見てもらってください。

5. 「あれ?」と思ったとき

こんなとき考えられること/どうするか
レバーが
奥まで入る
液が減っている/古くなって水分を含んでいる/エアが入っている。乗らずに見てもらってください
握った感じが
ふにゃりとする
同上。効きはじめが遅れるので、危ないです
キーキー鳴るパッドの限界/汚れ/面の当たり方。まずパッドの溝を見る
ゴリゴリ・
ガリガリ鳴る
パッドが無くなって、金属どうしが当たっている可能性。そのまま乗らないでください
押すと重い
(引きずり)
キャリパーのピストンが戻っていない。しばらく乗らなかった車に起きやすい。押し歩きで抵抗を感じたら点検を
レバーが
戻ってこない
同上。走れる状態ではありません
効きが
片側だけ
片方のパッドだけ減っている/ピストンの動きが悪い
久しぶりに乗るディスク表面のうすいサビは、走りながらブレーキを使ううちに落ちていくことが多いです。効きの悪さ・異音・振動が続くなら見てもらってください

※ レバーの遊び(握りはじめの抵抗が出るまでの動き)には、車種ごとに決められた範囲があります。取扱説明書の値で見てください。一般的な数字で判断しないほうが確実です。

6. やらないほうがいいこと

  • ディスクやパッドに油やワックスを付けない。ブレーキは、こすれる力で止める部品です。油が付けば効きが落ちます。チェーンに注油したあとは、飛び散っていないか確かめてください。
  • 減った液を、足すだけで済ませない。減った理由がパッドなのか漏れなのかが先です。
  • 違う種類のブレーキ液を入れない。指定は取扱説明書とタンクのフタに書いてあります。
  • ブレーキ液を塗装面や樹脂にかけない。かかったらすぐ水で流します。
  • 「たぶん大丈夫」で乗り出さない。ブレーキは、確かめずに走ってよい場所ではありません。

7. ここから先は、お店に任せたほうが安心です

次のどれかに当てはまったら、自分でどうにかしようとせず、お店で見てもらってください。

  • パッドの溝が消えている、または見ても分からない
  • 液がLOWERを下回っている/色が濃い/最後に換えたのが2年以上前
  • レバーが奥まで入る、ふにゃりとする
  • 金属音がする、ブレーキをかけると震える
  • 引きずっている、レバーが戻らない
  • 転んだあと(ディスクの歪みは、見ただけでは分かりません)
  • ゴムのホースが硬くなっている・ヒビがある。ホースは、長く使ったものは4年を目安に交換とされています。キャリパーやマスターシリンダーのゴム部品にも、交換の目安の年数があります
ブレーキは、迷ったときに「とりあえず乗ってみる」をしてはいけないところです。 おかしいと思ったら、そこで乗るのをやめて、見てもらってください。

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見て、気づけるようになれば十分です

溝が残っているか、液が減っていないか、色が濃くなっていないか。この3つを月に一度見るだけで、危ないところはだいたい先に気づけます。気になることがあれば、お電話かお問い合わせフォームでどうぞ。

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