ブレーキは、交換や調整の作業そのものがプロの領域です。ですが、見て気づくことはできます。このページは、作業のやり方ではなく「見方」と「気づき方」に絞っています。気づいたら、そこから先はお店に任せてください。
※イメージ画像です。
1. いつ、何を見るか
| いつ | 見るところ |
|---|---|
| 乗る前 (毎回) | レバーとペダルの効き方。走り出してすぐ、軽くかけて効くか |
| 月に一度 | パッドの残り(インジケーター溝)、液の量と色、ディスクの傷 |
| 2年ごと | ブレーキ液の交換(お店で) |
| しばらく 乗らなかったあと | ディスクのサビ、引きずり(押して重くないか)、レバーの戻り |
※ 日常点検の全体は 日常点検(乗る前の3〜4分) にまとめています。このページはその「ブ」の部分を詳しくしたものです。
2. ブレーキパッドの見方
ディスクブレーキのパッドには、減り具合を知らせる目印が付いています。いちばん多いのが「インジケーター溝」という切り欠きで、パッドが減ると溝が浅くなり、やがて消えます。溝が消えたら交換です。
ただし、目印の付き方は車種によって違います。同じメーカーでも、前は溝で見て、後ろは「インジケーターとディスクのすき間がなくなったら交換」という車種があります。お手元の取扱説明書のやり方で見てください。
摩擦材が厚く、目印がはっきり見えます。
溝が浅くなってきました。次の整備で見てもらってください。
目印が消えたら限界です。そのまま乗るとディスクを傷めます。
どこから見るか
- キャリパー(パッドを挟んでいる部品)の外から、すき間をのぞきます。明るいところで、スマホのライトを当てると見えます。
- 前は左右2枚、後ろも2枚。片側だけ減っていることがあるので、できれば両側を見てください。
- 音を当てにしないでください。バイクの取扱説明書は、目で見て点検する前提で書かれています。音が出る仕組みの車種もありますが、音がしなくても減っていることがあり、音が出たときはすでに限界を過ぎていることもあります。
3. ブレーキ液(フルード)の見方
ハンドルの右側(前ブレーキ)と、車体の右後ろあたり(後ブレーキ)に、小さなタンクと、中が見える窓があります。ここで量と色を見ます。
量がUPPERとLOWERの間にあります。
LOWERを下回ったら、パッドの減りか、どこかで漏れています。
色は濃くなっていきます。ただし新品の色は銘柄で違うので、2年で決めてください。
量が減っていたら
- パッドが減ると、液面はゆっくり下がります。これは正常な動きです。パッドを新品にすると戻ります。
- 急に減った、いつの間にか下がっている ― これは別の話です。取扱説明書には「ブレーキ液の減りが著しいときは、ブレーキ系統の液漏れが考えられます。販売店で点検・整備を受けてください」とあります。
- 足すだけで済ませないでください。減った理由を確かめないまま足すのは、危険を先送りするだけです。パッドが減って下がっている分を足してしまうと、パッドを新品にしたときに液があふれます。
- LOWERを下回っているのに、パッドはまだ減っていない ― このときは販売店へ。どこかで漏れている可能性があります。
色が濃くなっていたら
ブレーキ液は、使ううちに茶色から黒へと濃くなっていきます。ただし新品の色は銘柄によって違います(うすい黄色のものも、琥珀色のものもあります)。色だけで決めず、前に換えてからの年数で判断してください。
- ブレーキ液は、空気中の水分を吸います。水分が増えると沸点が下がり、強くブレーキをかけたときに液が沸いて、エアが入ったのと同じ状態になります。レバーがスカスカになり、効かなくなります。
- 金属の部品が錆びる原因にもなります。
- だから2年ごとの交換です。取扱説明書にも「ブレーキ液は安全のために2年ごとに交換してください」と書かれています。色が薄くても、2年経っていたら交換と考えてください。
4. ディスクとドラムの見方
ディスク
- ディスクの面に「MIN TH ○.○」という刻印があります。「最小の厚み」という意味で、この数値まで薄くなったら交換です。数値は車種によって違います。
- 段付き。パッドの当たっていない外周と、当たっている部分に段ができていないかを、指でなぞると分かります。
- 歪み。わずかな歪みや厚みのムラでも、ブレーキをかけたときにレバーが脈を打つように震えます。転んだあとは特に注意してください。
- ヒビ。厚みが残っていても、ヒビが入っていたら交換です。
ドラムブレーキ(後輪が多い)
外から中は見えませんが、見る方法があります。
- レバーやペダルをいっぱいに効かせた状態で見ます。ここは各社共通です。
- 見方はメーカーによって違います。ヤマハは「インジケーターが使用範囲から外れたら使用限度」、ホンダは「ブレーキアームの矢印とブレーキパネルの刻印が一致したら使用限界」といった書き方です。逆に読むと判断を誤るので、必ず取扱説明書で確かめてください。
- 目印が見当たらない車種は、外してみないと分かりません。お店に見てもらってください。
5. 「あれ?」と思ったとき
| こんなとき | 考えられること/どうするか |
|---|---|
| レバーが 奥まで入る | 液が減っている/古くなって水分を含んでいる/エアが入っている。乗らずに見てもらってください |
| 握った感じが ふにゃりとする | 同上。効きはじめが遅れるので、危ないです |
| キーキー鳴る | パッドの限界/汚れ/面の当たり方。まずパッドの溝を見る |
| ゴリゴリ・ ガリガリ鳴る | パッドが無くなって、金属どうしが当たっている可能性。そのまま乗らないでください |
| 押すと重い (引きずり) | キャリパーのピストンが戻っていない。しばらく乗らなかった車に起きやすい。押し歩きで抵抗を感じたら点検を |
| レバーが 戻ってこない | 同上。走れる状態ではありません |
| 効きが 片側だけ | 片方のパッドだけ減っている/ピストンの動きが悪い |
| 久しぶりに乗る | ディスク表面のうすいサビは、走りながらブレーキを使ううちに落ちていくことが多いです。効きの悪さ・異音・振動が続くなら見てもらってください |
※ レバーの遊び(握りはじめの抵抗が出るまでの動き)には、車種ごとに決められた範囲があります。取扱説明書の値で見てください。一般的な数字で判断しないほうが確実です。
6. やらないほうがいいこと
- ディスクやパッドに油やワックスを付けない。ブレーキは、こすれる力で止める部品です。油が付けば効きが落ちます。チェーンに注油したあとは、飛び散っていないか確かめてください。
- 減った液を、足すだけで済ませない。減った理由がパッドなのか漏れなのかが先です。
- 違う種類のブレーキ液を入れない。指定は取扱説明書とタンクのフタに書いてあります。
- ブレーキ液を塗装面や樹脂にかけない。かかったらすぐ水で流します。
- 「たぶん大丈夫」で乗り出さない。ブレーキは、確かめずに走ってよい場所ではありません。
7. ここから先は、お店に任せたほうが安心です
次のどれかに当てはまったら、自分でどうにかしようとせず、お店で見てもらってください。
- パッドの溝が消えている、または見ても分からない
- 液がLOWERを下回っている/色が濃い/最後に換えたのが2年以上前
- レバーが奥まで入る、ふにゃりとする
- 金属音がする、ブレーキをかけると震える
- 引きずっている、レバーが戻らない
- 転んだあと(ディスクの歪みは、見ただけでは分かりません)
- ゴムのホースが硬くなっている・ヒビがある。ホースは、長く使ったものは4年を目安に交換とされています。キャリパーやマスターシリンダーのゴム部品にも、交換の目安の年数があります
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見て、気づけるようになれば十分です
溝が残っているか、液が減っていないか、色が濃くなっていないか。この3つを月に一度見るだけで、危ないところはだいたい先に気づけます。気になることがあれば、お電話かお問い合わせフォームでどうぞ。